2008-01-01から1年間の記事一覧

55将棋KIDSの感想。

本日の日記はコンピュータ将棋に関する話である。コンピュータ将棋といえば、ここ数年でやたらと強くなったという認識を持っている方も多いと思われるが、強くするだけがコンピュータ将棋ではない(強くすることは最重要課題であると思うが)。コンピュータ…

英語と日本語は周波数が違うのかということに関する話。

題名の問いに対する結論を先に書いておくと「分からない」ということになる。 しばしば、「英語と日本語では使っている周波数が違うからリスニングが難しい」という話を聞く。下記の記事にもそのことについて書かれている。 同書では各国の言語によって音声…

的確な質問をしようとすると空回りする。

本日の日記は親しみのわく教員の例。の補足でもあり、もっと当たり前すぎて教えてもらえなかった研究のこと. - いまだに落ち着きのない三十路(アラフォー)のコメント欄に関連することでもある。 どの大学にも「分からないことがあったらなんでもいいので…

親しみのわく教員の例。

id:next49さんが、 はてな匿名ダイアリーで以下のようなエントリーを見ると、自分の研究室でうつ病になった子を思い出して心配になる。 http://d.hatena.ne.jp/next49/20081019/p2 という書き出しでいろいろと書いているが、 私にいつでも質問して良いことを…

こんなのでいいんだ感。

昨日予告したとおり、本日の日記では、ネット上の人のつながり方に始まり手軽な自己表現にまつわる考え方で終わる話を書く。 内容としては昨日の日記とはつながっていないが、まず昨日の日記のことを書く。先日、AVIRG(視聴覚情報研究会)という研究会に行…

芸術の企画書。

意外と日本はまだ文化や芸術に対する保護の気持ちが強いのかもしれないと思ったのでそのことについて書く。 先日、AVIRG(視聴覚情報研究会)という研究会に行ってきた。講演は二件であり、両方とも情報デザインによる市民芸術創出プラットフォームの構築と…

ボールのないサッカー観戦。

先日、動画サイトで剣道の試合を見ていたのだが、竹刀を持ったことのない私にはまるで何をしているのかが分からなかった。もちろん防具を身にまとった二人は見えるし、何やら機敏に動いていることも分かるのであるが、どのように竹刀を振っているのかがまる…

確かに「文章は接続詞で決まる」と思う。

光文社新書から「文章は接続詞で決まる」という本が出た。最近の新書は中身よりも題名に価値のあるものが多いが、これは中身も役に立つと思う。読み物として面白いとは言い難いが、自然言語処理をするアマチュアやプロの人は一度目を通しておいてもいいかも…

コードギアスの音声合成のサイトができたらしい。

そんなふうに題名に書いておきながら、私はコードギアスがいかなるものかを知らない。どうやらアニメやライトノベルのようであるが、公式サイトやwikipediaを見てもよく分からなかった。とにかく、そのアニメのキャラクターの声の音声合成をするサイトができ…

雑音環境下単語認識のための複素周波数領域における参照再構成法

自分の論文が出たのでそのことについて書く。日本音響学会の2008年9月の学会誌に載っている。音響学会に問い合わせたところ、自分がウェブにアップロードする分には構わないとのことなので、ヤフーのブリーフケースにアップロードした(でも今の自分の環境か…

大学の学習内容の整備。

高校までで習う知識と、大学の講義を受けるにあたって必要な知識との間に、不整合があるというエントリを読んだ。これである「本当に「ゆとり教育に伴う思考力の低下」が原因なのだろうか? - Thirのノート」。私の第一印象は、「だからどうした」というもの…

計算量とグラフ理論に関する本。

コンピュータサイエンスの分野には、NP困難という計算量に関する用語がある。本日の日記では詳しく書かないが(そもそも私は計算量にまつわる話が苦手なので詳しく書けない)、数学のとても難しい問題である。過去、フェルマーの最終定理が解けたり、ポアン…

モンテカルロの失敗談。

まだ懲りずに音声の研究の合間にコンピュータ将棋について考えている。一応、時間制御の部分と千日手の部分と棋譜の生成の部分を除けば、55将棋は動く。動くというだけでものすごく弱いのだが(55将棋だというのに5手先までしか読めない。反復深化をし…

「ロボカップ日本優勝・家庭用ロボット部門」に関して。

簡単に書く。いつものような論考みたいなものとしてではなく、ニュース代わりとして読んでほしい。 http://scienceportal.jp/news/daily/0808/0808061.htmlに書かれているとおり、ロボカップで日本チームが優勝したそうである。14チーム中1位だそうである。…

ギークな人たちに対抗して言語な人たちもけまらしく集まってみた。

関東日本語談話会という歴史のある学会が学習院女子大学で開かれ、そこに言語系はてなーたちが多く集まるという情報をid:nosemさんから聞きつけたので、参加してきた。なるほど確かに、たくさんの言語系はてなーたちがいた。たくさんいすぎて把握しきれてい…

たまには専門のことを。

音声工学をずっとやってきたはずなのに、最近十件の中に音声が少なかったので、音声のことを書く。音声工学といっても様々な応用分野があり、現在世間に流行しているバイオメトリクスなども古くから研究されていたり、比較的新しいところでは感情認識なども…

Theoretical investigation on the sensitivity of a microphone using the change in the total reflection of light by sound

五年くらい前に東京タワーの近くにある機械振興会館という建物で開催された音響に関する研究会で見かけた発表が、今月の論文誌に掲載されたようである。そのとき私は確か修士の学生で、質問はしなかったが発表後の休憩時間に「滅茶苦茶面白かったです」と話…

モンテカルロ木探索に関する雑感。

先日電気通信大学でコンピュータ将棋とコンピュータ囲碁の講演会が開かれ、その資料がウェブ公開されている(私も行こうと思っていたのだが体調不良で行けなかった)。とりわけ、コンピュータ囲碁のモンテカルロ木探索についてのPDFが非常に分かりやすい。 …

ここに設置していたメールフォームについて。

このブログのサイドバーにメールフォームを設置していましたが、本日自分でテストメールを送ったところ、スパムフィルタにかかってしまいました。これまでも、もしかしたら、スパムフィルタにかかってしまって読み損ねたメールがあるかもしれません。心当た…

当たり前すぎて教えてもらえない研究のこと。

下記二つの記事を読んで、どうにも違和感があった。大学の研究室での研究に関して、何かとんでもない前提のすれ違いがあるのではないかと思えた。この違和感は学生時代にも後輩に対して覚えていたのだけれども、どういった前提が食い違っているのかがどうに…

The Use of Overlapped Sub-Bands in Multi-Band, Multi-SNR, Multi-Path Recognition of Noisy Word Utterances

電子情報通信学会の英論文誌に、私が博士課程のときの後輩(当時修士課程)の論文が出た。The Use of Overlapped Sub-Bands in Multi-Band, Multi-SNR, Multi-Path Recognition of Noisy Word Utterancesである。彼と最も頻繁に最も長い時間ディスカッション…

穴の話。

以前、この日記で穴に興味があるということを書いた。後日、本屋で「穴と境界」という本を見つけた。穴と境界について哲学の存在論の観点から考察した本である。私は存在論についてはほとんど知らなかったのだが、穴についての存在論の考察は工学的なパター…

「大半の疑似科学は技術である」の続き。

まずは謝罪から入ろう。先日書いた私のエントリ(2008-05-11 - IHARA Note)についてトラックバックを送ってくださった三名の方へ。私は全く誤読させるつもりはなかったのですが、私の文章があまりにも分かりづらく、逆方向への誤読をさせてしまったようです…

大半の疑似科学は技術である。

id:dlitさんが疑似科学についてこのように書いている。 この「いつかは証明されるかもしれないでしょ」という言い方は、疑似科学関連のやりとりではよく見かける。 打席に立とうとしない人々 - 誰がログ 私は正確にはサイエンスの人ではなくてエンジニアリン…

天才という言葉からの解放。

天才というのはかなり厄介な単語である。そこから想起される人間像があやふやなのだ。 引用元のエントリには、小学生のときに天才と宣告されて、それゆえに苦しんだという独白が綴られている。このエントリの最後の方に、次のような文が出てくる。 だから僕…

なぜなら科学だから。

先日見た「爆笑問題のニッポンの教養」の感想を書く。2008年3月25日のこの特番の中で、太田は「金星は(金星という星は)生きているかもしれない」という発言をした。もちろん、太田もこれが常識的ではないことくらい分かっている。もしもそういう発…

「あ」の優劣。

このブログ上で何度か書いているが、「完璧な鳥」と私が呼んでいる問題についてあらためて語る。 最初に断っておくが、本日の日記の内容は、科学的に見てかなり危うい議論である。鵜呑みにはせず、そういう考え方をする人もいるのだという程度にとどめておい…

人はなぜ矢倉を組むことができるのだろう。

将来的にはコンピュータ将棋の大会に出たいなと思いつつ、いまひとつのものしか出来ていないのでまだ出ない(まだおそろしく弱い)。ところで、本日の日記のタイトルは、今考えていることである。 今は序盤の定跡に従って駒組みをさせるプログラムが中心だが…

フリーソフトの音声認識エンジンを使ってみたい人のための本。

本の紹介をする。フリーソフトでつくる音声認識システム パターン認識・機械学習の初歩から対話システムまで作者: 荒木雅弘出版社/メーカー: 森北出版発売日: 2007/10/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 45人 クリック: 519回この商品を含むブログ (3…

Googleのアドレスと統語法。

唐突にアドレスを書く。http://www.google.com/search?q=IHARA+Note&hl=ja&lr=&start=10&sa=N これはgoogleで「IHARA Note」を検索したときの2ページ目である。こういう少し入り組んだアドレスを見ていると、人間が使っている自然言語にどことなく似ている…