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大学教員の研究と教育のあり方についての話が話題になっている。大学教員は大抵、「研究:1、教育:1、雑用:8」くらいの時間の使い方をしていると思うので、雑用が減れば問題の八割が解決されることだろう。 でも、本日の日記で書きたいのはそういうこと…

子音の調音位置の弁別法が分からないということと、ゼロ交差グラムの正式名称が知りたいということ。

相変わらず、子音について興味がある。本日の日記は、「b,d,g」の違いがスペクトログラムやその亜種を見ても分からなかったのでスペクトログラムを見ても分からないところに違いがあるのではないかという感想と、DFTによるスペクトログラム以外にも時間周波…

音音研に行ってきた。「音声CAPTCHAの検討」。

東大の西本先生が「音音研」という研究会を主催しているということをウェブ上で知ったので、行ってきた。2009年6月18日のことである。発表者は二組いたが、そのうち一組のことを本日の日記では語る。なお、音音研のサイトにも書かれているが、参加者は発表者…

「世界最先端研究支援強化プログラム(仮称)」について思うこと。

2700億円を30の団体に配って技術の革新を起こそうという政府の計画がある。目的の部分は悪いことではない。政府の考えた事例を見ると、どうやら虚学ではなく実学に偏っているようではあるが、それを非難するつもりもない。問題は、2700億円で技術…

名前を見ても分からない。(追記あり)

どうでもいい話であるが、母校の電気通信大学が、学科を改組するそうである。 電気通信大学自体を知らない人が圧倒的に多いと思うので、誤解されている部分を語っておくと、まず、通信制の大学ではない。普通の四年制の大学である。それから、東京電機大学と…

モンテカルロどうぶつしょうぎの試み2。

前回に引き続き、モンテカルロ将棋の話である。最近巷ではどうぶつしょうぎが話題になっており、その検索語でここに来る人もいるかもしれないので先に断っておくが、本日の日記はどうぶつしょうぎをコンピュータで解析し尽くそうという話ではない。コンピュ…

モンテカルロどうぶつしょうぎの試み。

本日の日記は、専門外のコンピュータ将棋・コンピュータ囲碁の話である。先日コンピュータ将棋のデモンストレーションを見て、やっぱりモンテカルロ法を将棋にも応用したいなと思った。ただし、将棋の場合は細長い読みをしなければならないためモンテカルロ…

ブザー音に関する妄想。

音声波形は周期的に同じ形を繰り返す。けれど、厳密に同じ形が繰り返されているわけではなく、周期ごとにわずかに形を変えている。では、一周期分の波形を切りとってそれだけを長く接続していったらどうなるのか。結果としては、どのような波形であってもブ…

合議システムの疑問手を二つ。

昨日、エンターテイメントと認知科学シンポジウムが電気通信大学で開かれ、二日目の午後のみ見に行ってきた。二日目の午後は、コンピュータ将棋対人間の対戦であり、コンピュータ将棋ソフト四つの多数決によって次の一手を指していったらどうなるのかという…

聞き取りやすい英語への音声変換手法。

日本音響学会の春季研究発表会(全国大会)に行ってきた。一日目のみの見学である。十件の口頭発表と五件のポスター発表を見てきたが、その中で最も印象に残っている発表を紹介する。なお、筆頭著者にはブログに書く旨を伝えてある。 題名は「聞き取りやすい…

とても易しい音声認識の紹介書。

これまでにも色々と音声工学関連の本を紹介してきたが、おそらくこれが最も易しい。人と対話するコンピュータを創っています 音声認識の最前線作者: 古井貞熙出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2009/02/27メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 69回この…

バランスはちゃんととれているということ。

二月二十二日あたりからの一連の動き*1を見ていると、中には「研究室なんてろくなところじゃないな」という見解に落ち着いてしまう人もいそうな気がするので、こんな話も書いておく。 私の出身大学ではないのだが、友人の修士二年(当時)が先生にこんなこと…

日本語の五母音を二軸にプロットする。

子音の研究が思うように進まないので、ここ二ヶ月ほど母音で遊んでいた。本日の日記ではそのことについて書く。 日本語の五母音を語るとき、工学的にも、文系の音韻論でも、二軸で語られることが多い。ただし、その表現方法はそれぞれの分野で全く異なってい…

あ段にハイパスフィルタを適用する。

本日の日記は、ものすごく簡単な実験についての話である。「あかさたなはまやらわがざだばぱ」という音声を用意し、それにハイパスフィルタを適用するとどう聞こえるのかという実験である。まるで信号処理の初歩のような実験だが、結果を知らない人は意外と…

脳みそで平均と分散。

音声の堅苦しそうな話題が続くと書いていて自分で飽きるので、本日の日記はやわらかい話題である。 信号処理のプログラムを書いていると、何気なく平均演算をしていたり、何気なく標準偏差を計算していたりする。私の最も好きな言語はMATLAB/Octaveなので、…

残差信号を聴いてみた。

本日の日記もわりと専門的な話である。 先日、白色化した音声。という日記を書いたところ、以下のようなトラックバックが寄せられた。 PARCORで音声合成するために残差として単純パルス列を用意します。 (略) 元の音声にピッチに対応するようにパルスを並…

白色化した音声。

本日の日記は、ちょっとした実験の結果である(内容としてはかなり専門的である)。実験のスクリプトはSkyDriveというオンラインストレージに置いておいた。 音声信号をどこまでいじったら音韻の同一性は崩れるのか(崩れないのか)、ということについての実…

私が最初に聞きとった中国語。

本日の日記は音声からの単語獲得の話である。音声言語処理と脳科学と自然言語処理のあたりにまたがる話題ではあるが、この日記の内容はさほど学術的なものではない。 修士の学生の頃、隣の席の同級生は中国人の女性だった。ただし年齢は少々離れている。彼女…

ゾウがゾウの絵を描くときの描き方と、輪郭。

年末の「徹子の部屋」に絵を描くゾウのVTRが出てきた。もしかしたら有名な話なのかもしれないが、絵を描くゾウを見たのが初めてだったので驚いた。鼻先にペンを持ち紙にゾウの絵を描いていく。youtubeにも動画があったので貼り付けておく。 面白いと思ったの…

55将棋KIDSの感想。

本日の日記はコンピュータ将棋に関する話である。コンピュータ将棋といえば、ここ数年でやたらと強くなったという認識を持っている方も多いと思われるが、強くするだけがコンピュータ将棋ではない(強くすることは最重要課題であると思うが)。コンピュータ…

英語と日本語は周波数が違うのかということに関する話。

題名の問いに対する結論を先に書いておくと「分からない」ということになる。 しばしば、「英語と日本語では使っている周波数が違うからリスニングが難しい」という話を聞く。下記の記事にもそのことについて書かれている。 同書では各国の言語によって音声…

的確な質問をしようとすると空回りする。

本日の日記は親しみのわく教員の例。の補足でもあり、もっと当たり前すぎて教えてもらえなかった研究のこと. - いまだに落ち着きのない三十路(アラフォー)のコメント欄に関連することでもある。 どの大学にも「分からないことがあったらなんでもいいので…

親しみのわく教員の例。

id:next49さんが、 はてな匿名ダイアリーで以下のようなエントリーを見ると、自分の研究室でうつ病になった子を思い出して心配になる。 http://d.hatena.ne.jp/next49/20081019/p2 という書き出しでいろいろと書いているが、 私にいつでも質問して良いことを…

こんなのでいいんだ感。

昨日予告したとおり、本日の日記では、ネット上の人のつながり方に始まり手軽な自己表現にまつわる考え方で終わる話を書く。 内容としては昨日の日記とはつながっていないが、まず昨日の日記のことを書く。先日、AVIRG(視聴覚情報研究会)という研究会に行…

芸術の企画書。

意外と日本はまだ文化や芸術に対する保護の気持ちが強いのかもしれないと思ったのでそのことについて書く。 先日、AVIRG(視聴覚情報研究会)という研究会に行ってきた。講演は二件であり、両方とも情報デザインによる市民芸術創出プラットフォームの構築と…

ボールのないサッカー観戦。

先日、動画サイトで剣道の試合を見ていたのだが、竹刀を持ったことのない私にはまるで何をしているのかが分からなかった。もちろん防具を身にまとった二人は見えるし、何やら機敏に動いていることも分かるのであるが、どのように竹刀を振っているのかがまる…

確かに「文章は接続詞で決まる」と思う。

光文社新書から「文章は接続詞で決まる」という本が出た。最近の新書は中身よりも題名に価値のあるものが多いが、これは中身も役に立つと思う。読み物として面白いとは言い難いが、自然言語処理をするアマチュアやプロの人は一度目を通しておいてもいいかも…

コードギアスの音声合成のサイトができたらしい。

そんなふうに題名に書いておきながら、私はコードギアスがいかなるものかを知らない。どうやらアニメやライトノベルのようであるが、公式サイトやwikipediaを見てもよく分からなかった。とにかく、そのアニメのキャラクターの声の音声合成をするサイトができ…

雑音環境下単語認識のための複素周波数領域における参照再構成法

自分の論文が出たのでそのことについて書く。日本音響学会の2008年9月の学会誌に載っている。音響学会に問い合わせたところ、自分がウェブにアップロードする分には構わないとのことなので、ヤフーのブリーフケースにアップロードした(でも今の自分の環境か…

大学の学習内容の整備。

高校までで習う知識と、大学の講義を受けるにあたって必要な知識との間に、不整合があるというエントリを読んだ。これである「本当に「ゆとり教育に伴う思考力の低下」が原因なのだろうか? - Thirのノート」。私の第一印象は、「だからどうした」というもの…