学部四年生の一月から三月。

 予稿を書き上げ提出し、十二月に失敗した実験を再びおこなった。実験には残響の少ない部屋を選んだ。今度は実験は成功し、まずまずの結果を得ることができた。

 そして、一月はそれらの作業とともに、卒論も書いていた。ゼミのレジュメをふざけて英語で書いていたら、卒論も英語で書くことになってしまったので英語で書いた(ただし短い)。なお、英語はかなり間違えており、また、読みづらい。

 二月の初頭に卒論を提出し、二月の中旬に学内での卒研口頭発表をした。緊張して声が小さくなった。

 二月と三月は、もう少し性能が上がらないものかとシミュレーション実験をしたりもしていた。

 三月に学会での口頭発表をした。この口頭発表は申し込めば誰でもできるという審査なしのものである。また、出来の悪い発表でもあまり文句は出ない。

 これで、私の卒業研究も全て終わりである。その後、この研究は日本の論文誌の査読つき論文の一部に組み込まれることになった。

 この「学部回想」のカテゴリはこれで終わりである。ごく標準的な情報工学系学部生の研究の記録である。出身大学を見てもらえれば分かるとおり私は決して優秀な人間ではないし、かといって一応博士号を取得しているので全く何もできないというわけでもない。本当に標準的だろうと思う。よくも悪くも、この文章がこれから卒業研究にとりかかる理論系の工学部の人の参考になれば幸いである。