ディジタルパターンプレイバックによる日本語子音キューの分析

2019年10月28日に日本音響学会の聴覚研究会で発表をしてきた。予稿のPDFや発表スライドはアップロードしないが、音声を聞きそびれた方がいるかもしれないので、合成音をアップロードしておく。また、学会の性質上、予稿やスライドに書けなかった研究動機等も…

コンピュータ将棋の駒落ちに関する雑記、その1。

将棋には「駒落ち」というハンデ戦があります。強い方の人が駒をいくつか使わないというルールです。初期局面は例えばこんな感じです。 この駒落ちは、将棋の文化としては、「純粋なハンデ戦」としての側面と「指導将棋用のルール」としての側面の主に2つが…

「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」

今日の日記は「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」という本の感想です。 私のブログを読むような人なら、読んで損のない本だと思います。名著です。 iPS細胞の研究をする前は何の研究をしていたのか、なぜiPS細胞の研究が必要だと思ったのか…

google翻訳の技術倫理に悩む。

今日の日記はgoogle翻訳で日本と中国に関する要らぬ議論が出ているという話です。多少政治的な話題が入りますが、政治的な話題はメイントピックではないです。 google翻訳で、「中国が日本を侵略した」を英語に訳しても、「日本が中国を侵略した」を英語に訳…

物語自動生成と報道戦略。

昨日から松原さんの「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」が話題になっています。ITメディアや日本経済新聞で採り上げられています。 おそらくそのあたりの記事を読んだ方には、あたかも小説の自動生成が新しいプロジェクトのように映ると思うので…

ヒッグス粒子が話題です。

今、ヒッグス粒子が話題です。私も気になったのでヒッグス粒子についていろいろとウェブ上を検索してみたのですが、さっぱり分かりませんでした。重力がどうのこうのとか、クォークとなんとかとフォトンとなんとかとあとそれがないとおかしいとか、そういう…

母音のよくある図。

だからといってどうということもない話。分かる人だけ分かってください。 世界中の母音を語る上でこの図がよく出てきます。口を開いているとか、前の方で喋っているとか、口が丸いとか、あの図です。 現在、別の目的のために母音をちょこちょこといじってい…

文理な話。

最近はどうでもいい話はgoogle+に書いているのですが、この話をgoogle+に書くのもちょっとなあと思ったので、こっちに書きます。「Google 辞めました - アスペ日記」を読んでの感想です。 リンク先のエントリは、一言でいってしまえば会社と自分との方針が違…

合成音の「あぁ?」。

今日の日記は、分かる人にだけ分かればいい話です。音声合成の話です。短い話です。つまらないです。 私の研究の目的は音声合成ではないのですが、途中で合成の話が絡んできたのでそのことをちょこっと書きます。今回のミッションとしては、一つのスペクトル…

弱いコンピュータ将棋「こまお」について。

今日の日記は周回遅れの技術で作ったコンピュータ将棋の話です。 先日、「こまお」(移転先はこちら)というコンピュータ将棋を公開しました。こまおの特徴はとにかく弱いことです。攻めは遅く、受けはほとんどできず、筋は悪く、一手詰すら見つけられません…

学者の試行錯誤ツイートについて。

本日の日記は、学者の一般的な印象に関する話である。 先日友人に、学問で食えないと愚痴を言っていた。そうしたらその友人に、「そういえばずっと前の音声の解説面白かったよ」と言われた。音声は私の専門である。それはそれで嬉しいのだけれど、その友人は…

大学の求人に関する記録。

本日の日記は単なる記録です。おそらく読んでも面白くはありません。 twitterから流れてきた情報ですが、東洋大学の教員の求人情報の中に注目すべきものがあるとのことでした。この求人サイトは研究者ならほぼ誰もが知っている有名なものです。就職先の機関…

モンテカルロ5五将棋の試み、その3。

昨日は電王戦でしたね。ということで、細々と続けている私のモンテカルロ法の試みの中間報告でもここに書こうと思います。詳しいことは過去のエントリを「モンテカルロ」でブログ内検索して読んでください。このシリーズはどうぶつしょうぎから始めたのです…

NVDAの人が出てるネットラジオ。

面白かったネットラジオの紹介です。 http://www.tomgnet.com/himatsubushi/live/backno.htm これの2011/12/20「NVDA日本語化プロジェクトメンバーの西本さんに聞く」というやつです。 私のような目の見える人はほぼ使わないソフトなのですが、世の中には目…

人工知能が東大に入るときの難所。

一部で話題になっている「ロボットは東大に入れるか」(国立情報学研究所「人工頭脳プロジェクト」)であるが、私の周りでは専門外の方々の反応の大多数は「当然入れる」というものだった。私の直感では「難しい」ということになっているので、ここでは何が…

音声認識の得意なことと苦手なこと。

年に数回くらい「音声認識でこんなことはできますか」という趣旨のメールが来るので、やりやすいこととやりづらいことを書いておこうと思う。なお、これは現時点での技術状況であり、将来どうなっているかは分からない。1.大量データは得意。 やはり機械なの…

モンテカルロ5五将棋の試み、その2。

本日の日記は現在作っている5五将棋の棋譜である。技術的な説明はせず、単に棋譜を載せるだけである。メールやtwitterやgoogle+での反応や要望を見て今後どこまで技術的な説明をするかを考えるつもりである。反応が薄ければ説明はしない(前回のどうぶつし…

方針転換。

音声の研究とこのブログに関して思うところをgoogle+に書いてみました。なお、google+はどうやら招待状なしで誰でも登録できるようになったようです。

倫理学の人と喋った。

将棋関連の知り合いに若手倫理学者がいたので、なんとなくskypeで喋って録音してみました。いわゆるラジオです。 聞き返してみて、私は話を聞くのが下手だなあと思いました。リアクションが単調。全くの専門外の分野の話だとやっぱり話の聞き方が浅くなりま…

「消えゆく学会」を聞いてきた。

本日、「消えゆく学会」という会議が人工知能学会主催で開かれた。その感想をさらさらっと雑に書いたので、リンクを張る。 「消えゆく学会」を聴いてきた

フォルマントの情報量と日本語五母音。

本日の日記は音声の母音についてのどうでもいい話である。専門用語多め。 しばしば母音を語るときに第一フォルマントと第二フォルマントの二つで表すことを前提として話が進められることがあるが、このところ母音をいろいろと触っていて日本語五母音をたった…

モンテカルロどうぶつしょうぎの試み5。

本日の日記はコンピュータ将棋にモンテカルロ法を適用してみたという話である。ずいぶんと間が空いてしまったが、それだけ苦労したということである。第一回目の日記の内容から考えるとずいぶんと進歩した気がする。 さて、コンピュータ囲碁の世界でモンテカ…

二次元テレビと穴。

三十年ほど前、我が家には一瞬だけ白黒テレビがあった。私に物心がつく前のことなのであまりよく憶えてはいない。ほどなくしてカラーテレビに買い換えられ、それ以降我が家にはカラーテレビがあるのだが、そういえばなぜテレビには視覚的にリアリティがある…

テストに出ないからこそ重要な数学の心得。

本日の日記は本の紹介である。「数学ガール 乱択アルゴリズム」という本である。 小説仕立ての数学の本であり、この乱択アルゴリズムはシリーズの四冊目であるようである。私は前の三冊は読んでいないのでなんともいえないが、この本は素晴らしかった。 数学…

3月21日に予定されていた講演で羽生善治三冠に訊いてみたかったこと。

来たる3月21日に電気通信大学に於いてコンピュータ将棋に関する学会(一般公開)が開かれることになっていたが、地震のために中止となった。その学会では羽生善治三冠の講演と質疑応答もあった。 質問は聴講参加希望を送るときに同時に集められており、私…

小説関連のイベント。

音声とも将棋ともそのほかの学術的なこととも何ら関係がなく、つまりこのブログとは関係がないイベントですが、告知してほしいと頼まれたので告知です。 世の中には小説家とか編集者とかそういう人たちがいるわけですが、そういう人たちのディスカッションを…

「べ」と「で」と「げ」の違い・その4。

本日の日記は音声の話である。ようやく一歩研究が前進したかしていないかというところである。分野としては、計算音声学ということになるのだと思う。文系の音声学について工学的にアプローチしてみたということである。 私は今、/p/と/t/と/k/がどのように…

勝手には進歩しない科学。

さて、今年もどうでもいい話から始まる。 少し前のことになるが、旧くからの友人とコンピュータ将棋の話になった。友人がそれほど詳しくない類の話である。私が「頑張って作っているんだけどなかなか上手くいかないんだよねえ」と言うと、友人は何かに気づい…

「べ」と「で」と「げ」の違い・その3。

本日の日記は子音の話である。これまでの私の経過を追っている方なら分かっていると思うが、子音の研究の道のりは険しい。 いつもの繰り返しになるが、私は子音というものを解明したいと思っている。母音についてはその物理特性がかなりのところまで分かって…

コンピュータ将棋の学習の失敗談。

本日の日記は数年前の失敗談である。そして、コンピュータ将棋の話でもあり、機械学習の話でもある。 まずはざっくりとした話から始めよう。今のコンピュータ将棋というのは、探索と評価関数からできている。探索がおよそ読みに相当し、評価関数がおよそ大局…