学部四年生の八月下旬から九月。

 助手の先生から「とりあえず三次元空間で単一話者の音源定位のシミュレーションをしてみて」との命を受けたので、問題設定と算数をした。その後、算数の結果をプログラムしてみた。それなりに長いスクリプトを書くのは初めてだったので、一ヶ月ほどかかったが、九月下旬にシミュレーションができた。

 できたということを助手の先生に報告したら、隣で聞いていた先輩が、「その方法はすでにやられているよ」と教えてくださった。私がマイク三つで一組を作っていたのに対し、その論文ではマイク四つで一組を作っていた。それなりに落ち込んだが、気をとりなおして次に進むことになった。

 助手の先生に「それを複数話者に対応させて」と言われた。「とりあえず二人か三人くらいで」という問題設定をいただいた。