コンピュータ将棋とパターン認識と制御。

 コンピュータ将棋に関する学会発表を見たとき、それが認知科学系の研究会であったこともあって、パターン認識に似ているのではないかと考えてしまった。そしてその後、考えをあらためた。コンピュータ将棋とパターン認識はまるで異なるものである。

 コンピュータ将棋は盤面を入力として、最善手(と思われるもの)を出力する。パターン認識も画像などを入力としてそれが何に最も近いかを出力する。一見似ているようで、まるで異なる。何が異なるのかといえば、出力先である。パターン認識の出力先は一般的には入力の空間とは異なるが、コンピュータ将棋は入力と出力の空間が一致している。

 入力と出力の空間が一致しているといえば、制御工学が思い当たる。例えば、室温を一定に保つような分野が制御工学である。コンピュータは、室温を観測し、室温を操作する。

 私がたまに遊ぶk-shogiはおそらく将棋をパターン認識に近い方向で解いている(ように見える)。そして、(初期の)bonanzaは何も認識せずに制御に近い方向で解いた(ように見える)。bonanzaの強さは、問題の捉え方によるものなのかもしれない。

 ところで、この文章を書いている間にbonanzaに関する新書が出たので、そのうちその本の感想を書こうと思う。