3月21日に予定されていた講演で羽生善治三冠に訊いてみたかったこと。

 来たる3月21日に電気通信大学に於いてコンピュータ将棋に関する学会(一般公開)が開かれることになっていたが、地震のために中止となった。その学会では羽生善治三冠の講演と質疑応答もあった。

 質問は聴講参加希望を送るときに同時に集められており、私も質問を書いた。私の質問が採用される予定だったかどうかは知らないが、せっかくなので羽生三冠に訊いてみたかったことを本日の日記では書こうと思う。

 現在、アマチュアの将棋指しの中でも特に級位者や初心者は、自分の棋譜をコンピュータに解析させることが多くなってきている。先手と後手のどちらが優勢だったか、どの手がよくてどの手が悪かったか、悪かったとしたらどんな手を指せばよかったのか、といったことをソフトは教えてくれるらしい。私はソフトを持っていないので詳しいことは分からないが、ウェブ上の解析結果をちらちらと見る限りではそれっぽい解析結果である。

 また、プロ同士の対局の形勢判断をリアルタイムで計算してくれるツイッタアカウントなどもあり、アマチュアが徐々にソフトに対して信頼を寄せつつあることが分かる。

 そんな中で、どこまでソフトは人間らしいのかということを知りたくておよそ次のような質問を書いてみた(保存はしていないので記憶を元に書き起こしている)。

棋譜(ただし考慮時間は含まない)だけを見て、対局者が人間であるかソフトであるかということは分かるものでしょうか。また、分かるとしたら、どのあたりからそう判断するのでしょうか。

 正直なところ私は、先日のトップ女流棋士とコンピュータ将棋(あから)の公開対局を見て、コンピュータ将棋にコンピュータらしさを感じることができなかった。何手か人間なら指さないような際どい手もあったと言われているが、それを「これは渡辺明竜王がすでに勝ちを読みきった手なんですよ」などと解説されたら信じてしまいそうである。

 トッププロの目から見て、コンピュータ将棋はまだまだコンピュータらしいのか、それとも人間の指し手に近づいているのか、私は非常に気になっている。

 私は心のどこかで、ソフトに形勢判断をさせるのはまだ無理なんじゃないかと思っていたり、ソフトが疑問手だと指摘しても反論したかったりしているのである。それから、プロ棋士女流棋士のほうが大局観に優れているというのは心の底から思っている。

 また、どのあたりから判断するかというのも興味がある。人間とソフトはどこが違うのかという問いである。これに関してはソフトの開発者が考えていなかった回答をするのではないかという気がする。一流の指し手しか持っていない視点がありそうである。

 果たして、一般公開の講演が予定どおりおこなわれていたら、羽生先生はなんと答えただろうか。

 聴講参加を希望した者の勝手なお願いとしては、できることならUstreamあたりで羽生三冠と伊藤先生に対談のようなかたちで講演していただきたいと思っている。