テストに出ないからこそ重要な数学の心得。

 本日の日記は本の紹介である。「数学ガール 乱択アルゴリズム」という本である。

 小説仕立ての数学の本であり、この乱択アルゴリズムはシリーズの四冊目であるようである。私は前の三冊は読んでいないのでなんともいえないが、この本は素晴らしかった。

 数学の本といえば、定理があって証明があって終わり、というイメージだろうと思う。つまり一般的には数学の本は定理の紹介である。でも、この本は定理の紹介ではなく、「数学の得意な人というのは知らない数式を見たときにどう理解するのか」「思っていることを数式にしたいときにはどうするのか」ということを紹介しているのである。

 要するにこの本は、基本的な数式の「読み書き」の本である。

 かなり前にこのブログでも、数学の授業は式変形に終始していてつまらなかったということを書いた。数学の面白いところは(実学的には)現実世界をどう数式で表すかということと、数式から意味をどう読みとるかというところにあるのに、それを学校では教えないという不満を書いた。この本は見事にその不満を解消してくれた。

 この本を読んでもすぐには学校のテストの成績が上がるわけではないが、「テストに出ないからこそ憶えておくように」というフレーズがぴったりくる一冊である。読んでから三年後くらいに差が出る。

 十章からなり徐々に難しくなっていくが、最初の方を読むだけでも意味のある本である。途中で挫折しても構わないという気持ちで読んでほしい。