論文のPDF閲覧にパスワードをかけるのをやめてほしい。

(この文章の掲載に前後して、PDFの自サーバへの掲載が許可された。ただし、電子情報通信学会への申請が必要。そして、よく規約を読んでみると、著者最終原稿の転載は不可となっていた。要するに、実質的には掲載は許可されていない。)

 今回の記事は、要するに、タイトルどおりの希望である。なお、間違いのないように最初に書いておくが、論文の閲覧ができないのはウェブ上だけの問題であり、図書館に行けば問題なく見ることができる。

 私は電子情報通信学会(略称:通信学会)と人工知能学会に所属している。主な活動拠点は通信学会の方で、人工知能学会は一回口頭発表をしただけである。通信学会の方には二本の論文を掲載させていただいている。一つは日本語でもう一つは英語である。本日の日記はその二本の論文を見ることができる人が少なくて悲しいという心情吐露である。

 人工知能学会の論文は(私はここに載せていただいたことはないが)、誰でも自由にウェブ上で見ることができる。また、全国大会(という年に一度のお祭りのような学会が催される)の予稿までもがウェブで公開されていて、私の本名のフルネームで検索すると、それが検索の最初に来るようになっている*1

 一方、通信学会の論文は、論文のPDFにパスワードがかけられていて、IDとパスワードを持っている人でないと閲覧できないようになっている*2。そして、IDを手に入れるためには会員にならなければならない。会員は年会費を払わなければならない。つまり、学会が収入を得るための戦略として論文閲覧にパスワードをかけていると推測できる。学会としてはそうでもしないと赤字になってしまうのだろうが、論文のウェブ上での閲覧ができないという状況は避けてほしかったところである。なぜなら、論文を出した側としてはどれくらい多くの人にその論文が読まれるかというのが重要で、そのためには検索エンジンにひっかかることがほぼ必須条件となるからである。

 通信学会というのは確かにこの分野の学会としては大手であるが、このままウェブ上での論文の閲覧が円滑にできない状況が続けば、徐々に論文投稿数や会員数が減っていくと思われる。ここは、論文をウェブ上で無料で公開して、その代わり論文投稿の際には執筆者全員が学会員になっていなければならないなどの制約を課した方がまだ将来性があると思われる。また、年会費を1.5倍くらいにしても文句はない。

 なお、私がおもに図書館などで閲覧している論文誌は、情報処理学会のものと日本音響学会のものがある。どちらも、(一部の?)英論文誌は無料で公開しているようである(通信学会でも一部の英論文誌は無料で公開しているがそのうちパスワード制になる模様である)。

 だったら、英文で投稿するときには情報処理学会に鞍替えしようかと、今、思った。

*1:なお、この検索のトップに出てくる研究は私のメインの研究ではない。

*2:しかも会員も通常は全ての論文の四分の一しか見られず、それ以上の論文をウェブで閲覧するためには相応の会費の上乗せが必要となる。