学部四年生の五月後半から七月。

 集中輪講というものがうちの学科にはあった。大学や学科によってまちまちだとは思うが、一編の英語の論文を読まされて、その論文の内容をほかの研究室の先生や学生の前で説明するのである。英語を読む練習であり、発表の練習でもある。

 私の研究室の場合は、五月の下旬頃に先生から論文を渡されて、七月の末か八月の初頭に発表した記憶がある。そこまで時間をかける必要はないと思うのだが、かなり早めに論文を渡された。

 とりあえず、渡されたその日にざっと目を通し、二日間かけてきちんと読み込み、三日くらいかけて雑ではあるがパワーポイントを作成した。そして、翌週のゼミで簡単な発表をした。

 その後、暇だったので、適当に検索して日本語や英語の論文を読んでいた。私の卒業研究のテーマは明確には決まっていなかったが、大雑把には「マイクロホンアレー」というものを使うと決めてあったのでそれに関する論文を読んでいた。分かる論文もあれば分からない論文もあった。

 本番の発表はつつがなく終わった。