博士号の取り方。

 本日、博士論文の公聴会を開いた。そして、博士号取得がほぼ確定した(これから事務的な手続きがあるのでまだ覆る可能性はないとはいえない)。十二月に修了である。規定の三年間では取得できなかったので、決して簡単だったなどと言うことはできないが、予想よりははるかに簡単だった(予想では私の能力では六年くらいかかるのではないかと思っていた)。もう一度別の研究分野で博士号を取れと言われたら、さらに楽に取れそうな気がする。以下、情報工学系の博士号の取り方を考えてみる。

 博士号が取れるか取れないかは、情報工学系の場合、ひとえに「論文誌に論文が載るか載らないか」にかかっている。つまり、「博士号=論文を載せる能力」である。簡単に博士を取るためには、簡単に論文を載せる必要がある。

 論文を書くときに気をつけなければならないのは、論文誌の空気を読むことである。当該論文誌に載っている論文の中で、「よくあるテーマ」を探すことから博士号への道が始まる。よくあるテーマの論文は要するに査読に通りやすいテーマであるということである。なぜ査読に通りやすいかといえば、査読者が査読慣れしているからである。

 よくあるテーマの論文を見つけたら、そのテーマの論文が「どのように評価されて」査読を通ったのかを予想する。そうすると、どういうパターンが「査読者受け」がいいかということが分かる。

 そして、「よくあるテーマ」且つ「査読者受けのよいパターン」を満たしている「海外の論文」を探す。その論文を「査読者受けのよいパターン」を逸脱しない程度に改良し、論文誌に投稿する。簡単に査読に通るはずである。このとき、万が一、オリジナリティ値が20%を超えようものなら、そこを突かれてしまうので、慎ましやかに論文を書くのがポイントである。

 よくある「博士の学生が論文を通せなくなるパターン」は、学会誌に偉い人が書いているような「自分の信じた道をひたすら進め」という感じの言葉を真に受けて学会の空気を読まなくなるというものである。これをすると、独創的な研究はできたとしても論文は一切通らなくなる。

 とにかく、空気を読んで角が立たないようにするのがポイントである。

 夢のない世界だと思いませんか。

 反論や反例はトラックバックでいつでも受けつけているし、ブログを持っていない人はメールをくださればこのブログに転載するつもりである。本日の日記は夢がないので、夢のある反論がほしいところである。



補遺(2007−11−03):お世話になった先生方からはこういう(主観的に言えば「悪い」)教育は受けていない。むしろ、どんどんオリジナリティを打ち出せと言ってくださる先生の方が多い。