大学教育

「自然な疑問」の作り方。

卒業研究の肝は、正解がない問題(正解を誰も知らない問題)を観察した事実や構築した理論に基づき論じるという点にある。 「自然な疑問」を持たないように訓練されている - 発声練習 卒業論文の指導にあたり、最初の「問い」が立てられない学生について教員が…

とあるものの取り方。

先日ブックマークがたくさんついて懲りたので、もう刺激的な大学関連の日記は書かないようにしようと思っていたのだが、この話は聞いたらやはり書きたくなってしまう。友人のそのまた友人の研究室での話である(例によって友人関係は学外にも及ぶので研究室…

博士号の取り方。

本日、博士論文の公聴会を開いた。そして、博士号取得がほぼ確定した(これから事務的な手続きがあるのでまだ覆る可能性はないとはいえない)。十二月に修了である。規定の三年間では取得できなかったので、決して簡単だったなどと言うことはできないが、予…

人の進路にアドバイスをしたら怒られた。

昔は「博士後期に進む=死亡フラグ」じゃない時期があったんですか? http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20071027/1193520052 という問いに対して、そろそろ博士号をとりそうな私が僭越ながら見解を述べようと思う。ただ、一般的には大学院がそもそもいかなる…

嫌な教師は虫歯を見つけてしまう歯医者なのかもしれない。

大学に来たのに勉強を拒否する学生は多々存在する。私は勉強がしたくて大学に入ったのでそういった学生の気持ちは分からなかったのだが、先日、おそらくこうなのだろうと予想がついた。歯医者に関する雑談を電話でしていたときのことである。 私が「歯医者の…

成績への異議申し立て制度からの連想。

先日知ったのであるが、うちの大学に「成績への異議申し立て」の制度ができたようである。期限内ならば、教員に成績への文句がつけられるほか、その先生の対処が気に入らなかったら事務に話を持っていけるそうである。私はもはやこの制度は関係ないのだが、…

電子・情報・機械系の学科の授業の半分。

四月からゆとり世代も大学二年生になる。大学二年生になると、一年生の頃よりもさらに授業が分からなくなるはずである。小学生になって初めて勉強をし、中学生になって定期テストに悩まされるようになり、高校生になって授業内容に追いつくのが精一杯になる…

修士課程という肩書き。

工学部に限った話であるということをまず最初に書いておく。 勉強や研究をしない修士の学生が増えていると感じている。私だけではなく、先生方もそう感じているようである。また、私よりも上の世代からすでにその傾向はあったようである。もちろん私の世代も…

数学の授業では数学を教えていない。

話の枕として、最近本当にあったことを語る。 先日、とある縁のある研究室にふらっと遊びに行った。私は三十分くらい雑談をして帰るつもりだったのだが、その時期は卒業発表の時期で、その日がちょうど研究室内のリハーサルだったらしく、暇だったら見ていか…

暗記科目としての数学。

カテゴリは「大学」であるが、これは高校の話である。数学といえば、一般に暗記の通用しない科目として捉えられており、才能がものをいう科目であると認識されているようである。それはおそらくほとんど真実だろうと思うが、「暗記不能」「才能次第」と一度…

博士課程とはどんなところか。

小学校と中学校は日本人ならほぼみんな通う。高校も多くの人が入学する。大学もそれなりに多くの人が進学するし、進学しなくてもなんとなくイメージはわくことと思う。今日の日記で採り上げたいのは大学院の話である。大学院というのがいかなるところか、想…

馬鹿より専門馬鹿の方がいい。

教育について語る人は多くいる。学力の低下について語る人も多くいる。そして、学力の低下について語る人に対して、学力の定義について問う人も多くいる。私も学力の定義について問いたくなる人間の一人である。 まず「学力低下」していると嘆く人は「学力が…

見知らぬ学生から研究代行を頼むメールが来た。

先日、私のもとに一通のメールが届いた。プライバシー保護のため詳細は語らないが、「私の代わりに卒業研究をしてください」という趣旨のメールである。その趣旨に反してメールに書かれていた情報量が極端に少なかったため、詳細を聞くためにいくつかの質問…

オシム監督流「できるけどやったことのないことをさせる教育」

教育というと「知識を詰め込む」と「野放しにする」の二つの方法論の間を行ったり来たりしている印象がある。我々のような「非ゆとり世代」は前者であり、「ゆとり世代」は後者であろうと思う。結論からいえば、どちらも失敗しているように思われる。そして…

学力低下も問題ではあるが。

学力の低下と見なされる状況が観測され、その低下を食い止めるためにはどうしたらいいかという議論がなされているが、本当に目指さなければならないのは、学力の向上だろうと思う。 学力の低下を食い止めるという概念は、みんなにペーパーテスト(およびそれ…

英語の授業では冠詞と前置詞を徹底的に教えてほしかった。

英語の授業を小学校に採り入れる試みがあるようである。すでに多くの小学校で実践されているのか、まだ実験的に数少ない学校で試されているだけなのかは知らない。小学校での英語教育には賛否両論あるようであるが、私が気になるのはむしろその内容である*1…

研究室にほしい人材。

高校生の頃、数学を担当していた教師が概ね以下のようなことを言っていた。「昔は教科書に書かれている内容を喋ると『教科書に書かれていないことを教えてください』と生徒たちに怒られた。でも、君たちは教科書に書かれていることすら理解できない」 また、…