「や」という発音について。

 知っている人は知っている話ではあるが、私もこの前初めて確かめたので、あらためて書こうと思う。

 「や」という発音は「い」から「あ」に滑らかに変化することによって発声される。そう聞くと、どこかに「い」と「あ」の境界がありそうな気もするが、そんなものはない。

 まず、「や」という発音を録音する。次に、「い」と「あ」の境界はここかなという場所を探す。そして、その境界の前の「い」であるべき部分の音を聞いてみる。期待に反して、「や」に聞こえる。次に、境界のあとの「あ」であるべき部分の音を聞いてみる。やはり「や」に聞こえる。どう頑張っても、境界は見つからず、境界の前後両方もしくは片方が「や」に聞こえてしまうのである。