ストップ・ザ・ナンバーズ・ゲーム。

 こういった話題は必要以上に人を惹きつけてしまうので、書くのは躊躇われるのだけれども、やはり書く。http://home.att.ne.jp/sigma/satoh/diary.htmlの2007年11月18日の記事で知ったのだが、"stop the numbers game"というコラムがとあるジャーナルに載っている。3ページの記事なのですぐに読めるが、自宅からアクセスしてみたらパスワードを要求されてしまった(記事の取得は大学でおこなった。大学はパスワードなしで見られるように契約しているのだろう)。

 誰でもアクセスできる範囲で引用すると、内容は以下のとおりである。

Counting papers slows the rate of scientific progress.

http://portal.acm.org/citation.cfm?id=1297797.1297815&coll=ACM&dl=ACM&idx=J79&part=magazine&WantType=Magazines&title=Communications%20of%20the%20ACM&CFID=43913400&CFTOKEN=62051443

 現在、(情報工学系の)科学者は論文誌や国際会議に載せた論文の数によって評価されることがほとんどであるが、その評価法に警鐘を鳴らしているのがこのコラムである。全文を訳して掲載したりすると著作権の問題が絡んでくるので、原文で箇条書きになっている部分のみをさらに短い箇条書きにして以下に書く。原文の翻訳ではなく、意味するところをまとめただけである。

 論文数を基準に科学者を評価しているとどうなるかということについて:

  • 質より量の世界になるため、浅い研究が多くなる。
  • 連名の論文を増やすために、研究グループが巨大化する。
  • 何度も同じような内容の発表をするようになる。
  • 長い時間をかけた論文が書きづらくなる。
  • 中途半端な論文が多くなる。

 論文数の評価というゲームに勝つための戦略(皮肉):

  • 自分の論文にお互いの名前を共著者として書き合う協定を作る。
  • 閉じた世界で論文をやりとりし合う。
  • 間違っていると分かっていながら論文を投稿する。
  • 特集号を狙う。
  • 成果を小出しにして論文数を稼ぐ。
  • 会議を主催して自分の論文を載せる。

 これらの箇条書きは、原文ではそれぞれに五行以上の文章が費やされているので、興味があったら原文を読んでください。

 一応、私の個人的な感想を書いておく。このところ学会の存在意義が分からなくなってきていたが、この記事を読んでますます分からなくなった。

 ところで、本日の日記はいつもにまして言葉足らずである。