合議システムの疑問手を二つ。

 昨日、エンターテイメントと認知科学シンポジウム電気通信大学で開かれ、二日目の午後のみ見に行ってきた。二日目の午後は、コンピュータ将棋対人間の対戦であり、コンピュータ将棋ソフト四つの多数決によって次の一手を指していったらどうなるのかということの公開実験が主題だった。なお、人間代表は、学生準名人の方だそうである。

 この一局だけでどうこういえるものでもないのだが、結果は人間の勝ちとなった。今回の合議システムの主題は、「疑問手を打ち消すことができるのではないか」というところにあったようであるが、解説をしていた先生やコンピュータ将棋の作者の方々の話を聞く限りでは、疑問手が二つはあったようである(もっとあったかもしれないが、私にも分かる疑問手は二つだった。なお私は三手詰めに苦戦する将棋初心者である)。

 一つ目の疑問手。本局は角交換で始まったのだが、先手のコンピュータの飛車が2八にいるときに、5六歩と突いた。会場はどよめいた。会場に来ていたBonanza作者の保木さんが「角交換に5筋は突くなっていうじゃないですか」と笑いを誘っていた。後手の人間が、すぐに3九に角を打ち、馬を作った。どうやら、その馬と角を交換する筋をコンピュータは読んでいたようなのだが、なぜかこの馬は終局まで残った。

 二つ目の疑問手。先手のコンピュータの玉が8八にいて守りの銀が7七にいるときに8六歩と突いた。なお、後手は居飛車である。前述の後手の馬もこの付近にいた。これは後手の9三桂に対する指し手であるが、初心者の私が見ても形が悪く、結局この地点から人間に攻め込まれてしまった。

 以上二つが分かりやすい疑問手である。なお、棋譜は後日掲載されるとのことである。

 コンピュータ将棋も人間の将棋にも疎い私の感想ではあるが、人間の駒の配置がコンピュータにとっては相当いやらしかったのではないかと感じた。まず、かなり早い段階で序盤定跡から離れた(二手目だか四手目だか忘れたが、9四歩が印象的だった。居飛車である)。また、銀二枚が中央に進出した。そして、居玉だった。かなり評価関数が狂わされたのではないかと思えた。

 コンピュータ将棋に関する深いコメントは、コンピュータ将棋を作っている方たちのエントリを待つことにしましょう。