何が分からないのかを語ること。

 今日の日記は、専門家は専門を語れという話でもあり、分かっていることを語るより分からないことを語れという話でもある。

 理系離れという言葉が古くさいものに聞こえてしまう世の中になったが、私は離れているのは理系だけではなくて、文系からもみんな(大人も子供も)離れているのではないかと思っている。学問にも技術にも全体的に関心が薄れているように思える。では、今注目を集めている分野は何かといえば、株や起業などの金銭に絡む分野やサッカーや野球などのスポーツである。また、政治に関する話題も関心を集めることに成功している。要するに、TVと新聞に大きく採り上げられている分野には、関心が集まる。

 また、学問の中でも「宇宙」や「量子力学」の分野には関心が集まっているという印象がある。一方、電子・情報工学屋の私としては*1、自分の分野を知っている人は少ないのではないかと思える。だから、自分の分野を知ってほしいという欲求がわいてくる。

 今日の日記の問題は、「どうすれば自分の分野を知ってもらえるか」であり、「どうすれば学問を知ってもらえるか」でもある。

 まず、一つ言えることは、知られている分野は質の差こそあれ、情報量が圧倒的に多いということが言える。まずは、情報量を増やすことが重要であると思われる。簡単にいえば、大学の教員は普通の日記をつけるのではなく、自分の専門分野のことを書けということである。私もいくつか大学の教員の日記を見ているが、驚くほどに普通の日記であり、ニートの妄想の方が面白かったりもする。ブログの日記は教科書と違って無料で閲覧を許可しているわけだから、正確さに慎重を期す必要もなければ、最後まで書ききる必要もない。積極的に専門分野のことを書いてほしい。難易度は問わない。

 もう一つ言えることは、「宇宙」や「量子力学」などの関心の集まる分野というのは、語る側も魅力の伝え方を知っているということである。それらの分野の魅力の伝え方の共通点は、「分からないことがある」という部分を強調していることにあると思われる。また、「分かりそうで分からない」という点も重要である。専門家が専門分野を語るときには、「何が分かっているのか」のみを語らなければならないという義務感に駆られがちであるが、むしろ、「何が分からないのか」をはっきりさせた方が面白いと思われる。と思っておけば、専門分野も書きやすくなるのではなかろうか。

 はっきり言ってしまうと、いわゆる「大学日記」は面白くない*2。積極的に「研究紹介」を書いてほしい。また、教員なら授業を担当しているだろうから、担当授業の内容を書いてもよいのでは?*3

*1:ただし、論文は複数本出しているが、まだプロではない。

*2:私も「大学日記」を結構書いたが。そしてこれからも書くが。

*3:ちなみに、私が大学三年生のために作ったページはこれである。http://recognition.web.fc2.com/