ジャーナリスト宣言について。

 私は朝日新聞は嫌いではないし、どちらかといえば好きな部類に入る。けれども、「言葉の力を信じている」というキャッチコピーには嫌悪感を覚える。*1

 結局のところ、言葉の力を信じるというのは、(自分たちの発した)言葉の力を信じるということである。朝日新聞がこのキャッチコピーを使うときにはそういう意味になるのだと思う。さらに、(自分たちの発した)言葉の(事実をねじ曲げるほどの)力を信じるというふうに解釈してしまいたくなるのは私だけだろうか。新聞社が「言葉の力」というフレーズを使うと、どうしても「捏造」というイメージが思い浮かぶ。

 ここは「私たちは信じている。読者の力を」あたりにしてほしかった。(言葉に惑わされずに事実を見抜く)読者の力を信じているという意味である。

 新しい知見を明らかにする前に、読み手との信頼関係を築くのがジャーナリストなのではないかと思う。

*1:言葉の力というと、語用論の有名な学者がたくさん出てきそうな用語であるが、そういった思想とは一切関係のないキャッチコピーであろう。