研究スパンと芸術やスポーツ。

 工学部では、三年生以下の授業では長くても一時間半以内で解ける問題のみを扱う。けれど、研究室に入ったら、短くても一年間はかかる問題を扱うことになる。かなりの学生が研究室のやり方になじめないのも当然のことなのかもしれない。

 研究に似ているのはそれまでなじんできた勉強ではなく、むしろ芸術やスポーツだと思う。一枚の絵を仕上げるのに数ヶ月かかるのに対し、展覧会ではわずか一秒で人々が自分の絵の前を通り過ぎ、足を止める人も三分程度で別の絵を見に行く。甲子園を目指せるのは一生に一度であるが、練習期間は短くても二年半であり、一回戦負けのチームは二時間程度で全ての試合が終わる。年に数人いる「ねばり強い学生」は大抵の場合、芸術やスポーツの経験がある。

 中学や高校で帰宅部を選ぶのはもったいないことである。