学部四年生の五月前半。

 教授による四回くらいのゼミが終わり、助手の先生がMATLABという言語についてゼミをした。ゼミ室に集められ、WindowsでのMATLABの起動の仕方と1+2の計算の仕方と終了の仕方を教わった。講義は十分もかからずに終わり、「何か質問は?」と言われたので、「manみたいなコマンドがあったら教えてください」と言った。"help"というコマンドの使い方を教わった。

 そして数十ページの資料を与えられ、その中の問題一つを二週間後までに終わらせて各自発表せよと言われた。「lpc分析をし、正規化された残差が閾値未満のところをゼロに置き換えて、再合成せよ」という課題だった。資料に書かれていたのは主にMATLABの操作方法で、lpcなるものについてはほとんど記述がなかった。資料を渡されたのち、解散となった。

 とりあえず、MATLABとMATLABによる音声の入出力に慣れるところから始めようと思ったので、音声を入力して出力するだけのプログラムを最初に作った。その後、lpcなるものの勉強は後回しにして、「逆再生の声」「井戸の中で喋っているような反響の声」「逆再生で井戸の中の声」「都合により音声を変えている声」などを適当に作ってみた。

 MATLABに慣れた頃にlpcなるものの勉強をし、要するにARモデルだと分かったので、信号処理の常識に従ってプログラムを組んでみた。そして、ゼミから二週間後に発表をした。なお、この発表のときに初めてパワーポイントを使った。

 それから、大学院への進学が決まったのもこの頃だったと思う。まずまずの成績の人は推薦で大学院に入れるので、その制度を私は利用した。面接はかなり怖かったように記憶している。後日、ちゃんと受かっていて安心した。